俺様天然男子
黒に染まる気がした。



由乃に対して、こんな気持ちにはなりたくないのに。



腹が立つ。



俺がなんかした?



忙しいのが気に入らないの?



なんで、何も言ってくれないの。



ほら、また考え事してる。



イライラしてきて。



学校にいたくなくて。



「嵐生、打ち合わせはちゃんと行くから」

「えっ?」

「帰る」



由乃の顔を見ていたくない。



無性に何かを壊したくなる。



物に当たっちゃダメだと、小さな頃から教えられて来た。



「ただいま」

「おかえっ⁉︎学校は?」

「サボり。たまには許して」

「いいけど…何かあった?」

「ううん。俺、音楽部屋にこもるね」

「わかった。お昼ご飯になったら呼ぶね」

「いい、いらない。お願い、母さん…ほっといて欲しい」

「…………うん。お腹空いたら、いつでも食べなよ?」



ごめんなさい。



母さんにまで当たりそうだ。



だから、ほっといて。



< 484 / 640 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop