俺様天然男子
それから、ちゃんと話した。



由乃の悩みは、就職のこと。



俺との時間がないこと。



ひとりで、悩んでたんだね…。



忙しい方は気楽なもんだ。



働いていれば、そのことだけ考えればいいんだから。



その後に、こんなに後悔する。



「言ってよね…」

「だって…理音くんだからっ、たくさん心配かけちゃうって…」

「なにその、俺だからって…」

「だって理音くんは…あたしのこと大好きだもん…」

「それは当たってるけど…」

「理音くんまで悩ませたくなかったの…。言わなくて、ごめん…」



俺に好かれている自信を持てたことは、由乃にしてみれば成長したんだと思う。



でもねぇ…。



「俺はちゃんと聞いたんだけど?悩みあるのかって」

「ごめんなさい…」

「で、一個だけ解決するかな?」

「解決…?」

「俺、今月でバイトやめるから。だから、時間も今よりはヒマになるよ」
 
「本当に…?」

「デート、しようね」

「するっ…」



抱きついて離れない由乃。



初めてしたケンカは、あんまりいい気分じゃないということを学んだ。



ごめんね、由乃。



この先もきっと、こんなことが起こると思う。




だけど、好きな気持ちはずっとあるよ。



浮気じゃなくて…本当によかったぁ…。



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