俺様天然男子
リビングに出れば、蕾さんとウタさんが楽しそうに笑い合っている。



「由乃ちゃん‼︎起きたー」

「すみません、寝てしまって…」

「制服、脱いだほうがいいよ?シワになっちゃってる」

「着替え…パジャマしかなくて」

「泊まらないの?先にお風呂に入っておいで?ご飯、温めておくから」



この人は本当に優しい。



あたしをなんだと思ってるのかな…。



世の中には彼女に息子を取られたと騒ぐお母さんもいるのに…。



お言葉に甘えて、先にお風呂に入った。



理音くんの部屋に、お泊りセットは置いてある。



パジャマに、下着。



毎回持って帰って、洗ってから理音くんちに置いておく。



役に立った…。



「お風呂、ありがとうございました」

「はい、召し上がれ‼︎」



テーブルに並んだご飯。



久しぶりだ、春巻き…。



「いただきます」



食べ始めたあたしを、ふたりがジーッと見つめて来る。



ものすごーく、食べづらい…。



< 492 / 640 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop