俺様天然男子
この家では、理音くんのバンドメンバーが勝手に蕾さんのご飯を食べにくることがよくあるらしい。



理音くんがバイトの時も、帰ってきたらなぜかいる状態だと聞いた。



あたしもその中のひとりのようなものなのかも…。



「ど、どうかしました…?」

「泣いた?理音に泣かされた?」

「あっ、んー…あたしが悪かったので…」

「ケンカしたってこと?」

「はい…」

「へぇ、なんか理音が青春してる」

「そう、ですか?」

「蕾がね『理音に反抗期が来た』って、午前中に騒ぎ出してさ。原因は由乃ちゃんとのケンカだったのか」

「すみません、迷惑かけて…」

「違う違う、嬉しいんだよ。理音にそういう感情を教えてもらえてさ」



『人に関わらないと、学べないでしょ?だからアイツは歌詞が書けないんだよ』とウタパパは言った。



おいしい、春巻き…。



この時間だと、太りそうだけど…。



「最近忙しいでしょ?原因はそれかな?」

「そう、ですね…」

「嬉しくない?理音が有名になるの」

「嬉しいです。理音くんの夢というか、やりたいことだし。それを現実に叶えてることに尊敬もしてます」



だけど…。



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