俺様天然男子
ひとりだったら、泣きそうだった。



でも、あたしはひとりじゃない。



「どうしたの?これ…」



雑巾でゴシゴシと机を拭いていたら、理音くんの声が上から降ってきた。



あっ、おはようって…言わなきゃ…。



「お、おはよ、理音くん…」

「ねぇ、どうしたの?いじめってヤツ…?」

「うーん、そうかな?大丈夫だよ」

「手伝う」



そっとしといて欲しいのに。



頑張るって決めたけど、やっぱり胸がチクチクするから。



だけど、拒否するのもおかしな話。



普通に、普通に…。



「消えないね、これ」

「そ、だね…」

「それと、ごめん…」

「なにが…?」

「この前のこと…。俺、ああいうの初めてで…なんて言えばいいかわかんなくて…。雛森がイヤとか、そういうんじゃなくて…。あの、昼休み…話してもいい?」

「あっ、はい…」



ある程度薄くなった落書きを見つめながら、本格的にフラれる覚悟をしなきゃと、涙をグッと堪えた。



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