俺様天然男子
歌えば、俺に合わせて手を上げ、音の波に連動するお客さんたち。



ダイブして、ケガしないでね。



その時、初めて由乃が視界に飛び込んできた。



ライブハウスなら、どこにいるのか把握しているので、あまり見ないようにしている。



ヤバイ、目が合ってる。



ものすごく笑顔だ。



釣られて笑えば、由乃が手を挙げるから。



応えるように指差した。



周りから見ればパフォーマンス。



本当は俺と由乃にしかわからない、秘密のやり取り。



それに気がついた嵐生が、ニヤニヤしながらギターを奏でる。



もう、楽しくて終わりたくないよ。



「次がラスト」

「もっと歌わせろー」

「珍しいな‼︎どうした⁉︎」

「まだ足んない。もっと、熱くていいよ」

「って、リトがリクエストしてるんで、最後、今日イチ盛り上がってちょーだいね‼︎」



俺が喋ったから?



最後の曲は、いちばん盛り上がった。



最高。



この瞬間が、ずっと続いて欲しい。



たまらないねっ‼︎



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