俺様天然男子
面接は形式的なものでいい、顔合わせだと、父さんの知り合いから連絡が来て。



初めて書いた履歴書を持ち、出来たばかりのレンタルスタジオに向かった。



黒い建物は、入口のドアが赤くて。



キレイだな…。



「こんにちは…」

「あっ、詩の息子?」

「はい」

「背ぇ高ぇな‼︎」



この店のオーナーは、父さんの知り合い。



ライブハウスをいくつか経営しているらしく、売れない頃にお世話になった人なんだとか。



「俺は修平、呼び方はなんでもいいぞ」

「わかりました。あっ、履歴書です…」

「おぅ。で、とりあえず案内するわ」



受付のような場所にポンと置かれてしまった俺の個人情報。



本当に面接じゃないじゃないか…。



緊張して、喉がカラカラなのに。



修平さんについていくと、いくつものフロアを案内された。



ダンスレッスンができるような、大きな鏡のある空間だったり、バンド練習ができる個室にはドラムだったり、アンプやエフェクター。



他の階には会議ができるように、ホワイトボードやスクリーン、イスにテーブルがあった。



「で、ここがレコーディング用」



俺が見ても訳の分からない機会がある、レコーディング用の部屋。



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