俺様天然男子
【由乃】



理音くんが家に帰って来なくなった。



正確には、着替えだけを取りに帰って来てる。



夜はどこにいるの?



紗雪に聞いても、嵐生くんの所じゃなさそう。



ねぇ、このまま別れるの…?



それに耐えられるの…?



「工藤です。よろしくお願いします」

「工藤さんですね。さっそくですが、こっち、確認してもらっていいですか?」

「はい」



あたしは今、新しくできる店舗に来ている。



全然知らない土地で、見たこともない景色。



あたしの職場になる、この場所…。



新店長となる、女の人は28歳の黒髪が似合う美人。



一緒に働く上司。



「工藤、これ、どう思う?」

「手違いですか?これじゃあホールとキッチンの出入りで混雑しますよ」

「だよねぇ。よかったよ、チーフが優秀で」

「ははっ…」



もう、断ることはできない。



あたしはここでやらなければならない。



部屋は会社が用意してくれる。



あたしの、新しい職場…。



理音くんがいない、この場所。



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