俺様天然男子
会いたい。



抱きしめてよ…。



『由乃、可愛い』って、あたしを呼んでよ…。



辛すぎて、リトくんに電話をかけた。



何度目かのコール音の後、聞きたかった本物の声。



「はい…」

「もし、もし…」

「どうした?」

「今…仕事中…?」

「んー、仕事っつーか…まぁ、休憩中」

「話せる?」

「いいよ」



泣きそうだ。



いつもより冷たい声に、心が痛む。



「由乃は?休み?」

「新しい…店舗の内装の…確認で…」

「ふぅん…。マジで行くんだ」

「そう、なるかな…」

「それは俺と仕事を天秤にかけた結果ってことで受け取っていいの?」



違うよ。



どっちも選べないんだよ。



「もし、仕事辞めなきゃ…別れるって言ったら…理音くんはどうする?」

「別れるね。俺にはこれしかないし。嵐生とかスバルとか、タカとか…紗雪の生活も背負って仕事してるつもり。由乃はそれをわかった上で、俺に同じことが聞けるんだね」

「違うっ…そうじゃなくてっ…」

「今、話してていいと思う?」

「よく、ない…」

「だよね。じゃあ、切るね」



プツリと、電話が切れた。



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