俺様天然男子
理音くんが帰ってきたのは、しばらく経ってからだった。



ご飯も食べないで帰って来たようで、手にはコンビニで買ったパスタとビールが2本。



「おかえり」

「うん…」

「ご飯、先に食べる…?」

「うん」



自分で温めたパスタを無言で食べている。



20歳を過ぎてから、周りに合わせて飲むようになったビール。



嵐生くんとタカくんはタバコを吸うようになった。



制服を着た頃から知っている、みんなの成長。



理音くんが言った『背負ってる』という言葉が、今になって痛い。



本心じゃなくても、言っちゃいけなかった…。



食べ終わったゴミを捨てて、ソファーに座るあたしの斜め向かい。



隣に来ないのは、理音くんなりの距離の取り方だと思う。



「飲む?」

「うん…」



立ち上がった理音くんが、冷蔵庫から出して来たレモンサワー。



甘いお酒しか飲めないあたしに、いつだったか理音くんが買ってきてくれていたもの。



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