俺様天然男子
それを受け取り、一口飲んだ。



「で、話って…別れ話?」

「えっと…まず、ね?いろいろ、ごめんなさい。全部、あたしが悪かったよ」

「全部って?」

「理音くんを攻めたこと。酷いこと言ったし、あたしが…離れるのに…理音くんの気持ち、考えてなかった」

「いいよ。俺も由乃に冷たくしたのは、ごめん。話もろくにしなくて、怒ってごめんね。それで、由乃は、答えを出せたの?」

「理音くんと…別れるのは…やっぱり考えられない。だけど、仕事もすぐには辞められない」



あたしの気持ちを、ちゃんと言わなきゃ。



聞いてくれる理音くんに、思ってることを。



「すぐにって…」

「新店舗が落ち着いたら、辞める。あたし、理音くんといたい。だけど、無責任なことはしたくなくて…少しだけ…ワガママ言わせてもらいたくて…」

「それでも俺がムリだって言ったら?」

「すぐに、辞める。世間なんてどうだっていい。社会人の常識よりも、理音くんといたい」

「そっか。わかった」



グイッとビールの缶を空にした理音くんが、キッチンに空き缶を持っていった。



戻って来て、そのまま隣に座る。


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