俺様天然男子
なにがどうなったら、そうなるんだろう…。



渡されたマイクを、訳もわからず受け取った。



「俺らも、伊達に楽器持ってる訳じゃねぇからさ」

「うん…?」

「お前が貸してくれたヤツ、かなり練習したんだ。じゃ、頼むぞ、理音」



ちょっと待って‼︎



本気で言ってるの⁉︎



止めるヒマなく始まった演奏は、なかなかの出来だった。



本当に…練習したんだ…。



「理音っ‼︎」

「えっ、あっ…」



歌い出しに気づかず、動揺してしまう。



何度も学校で聴いていたこの曲。



激しい曲。



なんだか…体が…熱くなる。



勝手に声が出ていた。



自分でも、予想できなかった大きな声。



ヤバイ、これ。



ハマる。



バカみたいに、全部、出すみたいに。



目があった嵐生が、ビックリしてる。



その顔が嬉しくて、さらに体が熱くなった。



音を、声を、友達と一緒に吐き出すんだ。



< 64 / 640 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop