俺様天然男子
俺、やるって言ったっけ…?



「まだ残り時間あるし。さぁ、好きなだけ歌えよ、理音」

「ちょっ、待ってよ‼︎」

「なにか問題あんの?ねぇよな。楽しそうだもん、お前」



楽しいけどっ‼︎



俺、ひとりで歌うつもりで…。



結局2時間、嵐生は演奏を続けた。



「ハァハァハァ…」

「ヤバっ、脱水になるっ…」

「熱っ‼︎」



俺も熱くて、邪魔な髪を後ろに流した。




「「…………」」



あっ、また同じ反応…。



タカとスバルが、動かなくなった。



ごめん、驚かせたらしい。



「プロになれる気がする…」

「天は二物を与えやがった…」

「「卑怯者っ‼︎」」



どうやら、ふたりは俺の顔を気に入ってくれたらしい。



汗かいて、髪が本当に鬱陶しい。



そのまま、受付の前の自販機で水を買う。



「えっ、えっ⁉︎ウソ…理音⁉︎」

「モエさん、ごめんなさい」

「あんたっ‼︎死ぬほど美人じゃんっ‼︎あたし、てっきり顔にキズでもあるのかと思ってたのに…」

「死ぬほど…」

「よかったぁ〜…。これで、理音の弄りネタが増えたわ。その顔でドーテーとか、本気でウケるわー‼︎」



童貞は関係ないじゃん…。



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