総長さま、溺愛中につき。②〜クールな総長の甘い告白〜
南くんはすぐに、それを片手で止める。
わ……南くんって、かわいくて小柄だけど、力あるんだな。
なっちゃんのパンチを軽々と止めるなんて、お見事っ……!
私はなんだか他人事みたいに、ふたりの光景を見つめていた。
「もう夏目くんってば、校内で暴力はダメだよ~。こんな人通り多い場所で!」
「は、なせよ……!」
「ふふっ」
なっちゃんは南くんの手から逃れようとしているけど、全く離れる気配はない。
というより、南くんに離す気がないように見えた。
南くんは、なっちゃんの拳を握ったまま、自分のほうへと引き寄せる。
「——……な」
なっちゃんの耳元に口を寄せて、ぼそりと何か言った。
聞こえなかったけど、一瞬いつもの南くんとは違って……すごく怖い形相に見えたのは気のせい……?