総長さま、溺愛中につき。②〜クールな総長の甘い告白〜
「大丈夫か、あんた……」
ふゆくんは、優しい声でそう言って、私の顔を覗き込んでくる。
昔と変わらないその声色に、ずっと我慢していた涙が溢れ出した。
「ふゆ、くん……」
「……っ、え?」
ふゆくんがなぜか、ひどく動揺したような声を出す。
よかった……ふゆくんだけでも、変わらないでいてくれて……。
ふゆくんは、ずっとそのままでいてねっ……。
「ちょっと……!」
引き止めるふゆくんの声を背に、私は教室を飛び出した。
とにかくひとりになりたくて、無我夢中で走った。
走って走って走って……気づけば、昨日南くんと話した生徒会寮の裏庭に来ていた。
ここなら、きっと誰もいない……。
ここにくるまでも、幸い知った人には合わなかった。
本当は自分の部屋に戻りたいけど、途中で誰かに会いたくない。
こんな情けない顔……誰にも、見られたくないっ……。