自販機から当たりが出た
あの日から、僕は卒業式の日を迎えた。
卒業式が終わった後、
僕にとって最後の一本を買ってみる。
まぁ、そうなるか。
今日も当たりは出なかった。
仕方ない。
初めて自販機の噂を聞いたとき、
"当たりがない"なんて言われているが、
もしかしたら…
"当たるかもしれない"。
毎日一本、買ってみるか。
と思った。かなり馬鹿げた検証だ。
しかし、
そんな馬鹿げた検証をするのが
ちょっとした楽しみになっていた。
僕は、社会人になるけれど、
きっと、職場でも同じ検証をするのだろう。
でも、学校の自販機は、
これで最後となる。
部活中。
テストが終わったあと。
授業の合間の休み時間。
放課後。
僕の高校生活に、
さりげなく入ってきた自販機だった。
思い出とともに、最後の一本を飲み干す。
「帰るか」
周りが記念撮影とかしている中、
僕は学校から出た。