悪役令嬢はラスボスの密偵として学食で働くことになりました
最初からわかっていたと言わんばかりである。
ところが続く言葉にカルミアは目を見開いた。
「それでこそ、アレクシーネの血を引く者だよ」
「ベルネさん!?」
「なんだい?」
のんびりとした態度にカルミアの焦りは加速する。この人にはとんでもないことを言ったという自覚は欠片もないのだ。
「アレクシーネの血を引くってどういう意味ですか!?」
史実によればアレクシーネの血を引く者はいない。ゲームでさえ、そのようなことは語られていなかった。
「どういうって、そのままの意味だろうに。あんたはアレクシーネの血を引いているじゃないか、小娘」
最後に小娘と付け足されたことではっきりと自分のことだと釘を刺された気分だ。
「わ、私が? 何言ってるんですか。私はランダリエの子孫で」
「いいえ、カルミア。貴女はアレクシーネの血を引いているわ」
カルミアの胸から顔を上げたドローナはすっかり落ち着きを取り戻していた。それどころかカルミアが取り乱す理由も心得ているようだ。
「当時アレクシーネには娘がいたの。ラクレット家はね、本当はアレクシーネの子孫なのよ」
「小娘、あんた知らなかったのかい?」
ベルネは最初からカルミアが知っていると思いこんでいたらしい。しかしカルミアにとっては驚愕の事実である。
「知っているのは私たち精霊くらいよ。アレクシーネが眠りについてから、ランダリエが言ったでしょ。
アレクシーネの血を引いていることがばれたら利用されるんじゃないかって。だから真実を知るのは私たち精霊だけ。ランダリエはアレクシーネの娘を自分の娘と偽ることで守ったのよ」
「そんな……」
(これってゲームが根底から覆りそうな新設定過ぎない!?)
制作陣は続編ありきでこのゲームを製作していたのだろうか。カルミアに重要な設定を与えることで更なる敵として再利用するつもりだったとか……。いずれにしろ、全プレイヤーが知れば卒倒しかねない新設定である。
「けど、そんなのどうでもいいことよね」
カルミアが頭を抱えていると、あろうことかドローナはけろりと言い放った。
「たとえアレクシーネの子孫であってもカルミアはカルミア。私がカルミアを大好きなことにアレクシーネの血を引いているなんて関係ないんだから」
ドローナは無邪気な笑顔でカルミアに告げる。カルミアを見つめる眼差しに悪役としての面影はなく、ただの子どものようだった。
ところが続く言葉にカルミアは目を見開いた。
「それでこそ、アレクシーネの血を引く者だよ」
「ベルネさん!?」
「なんだい?」
のんびりとした態度にカルミアの焦りは加速する。この人にはとんでもないことを言ったという自覚は欠片もないのだ。
「アレクシーネの血を引くってどういう意味ですか!?」
史実によればアレクシーネの血を引く者はいない。ゲームでさえ、そのようなことは語られていなかった。
「どういうって、そのままの意味だろうに。あんたはアレクシーネの血を引いているじゃないか、小娘」
最後に小娘と付け足されたことではっきりと自分のことだと釘を刺された気分だ。
「わ、私が? 何言ってるんですか。私はランダリエの子孫で」
「いいえ、カルミア。貴女はアレクシーネの血を引いているわ」
カルミアの胸から顔を上げたドローナはすっかり落ち着きを取り戻していた。それどころかカルミアが取り乱す理由も心得ているようだ。
「当時アレクシーネには娘がいたの。ラクレット家はね、本当はアレクシーネの子孫なのよ」
「小娘、あんた知らなかったのかい?」
ベルネは最初からカルミアが知っていると思いこんでいたらしい。しかしカルミアにとっては驚愕の事実である。
「知っているのは私たち精霊くらいよ。アレクシーネが眠りについてから、ランダリエが言ったでしょ。
アレクシーネの血を引いていることがばれたら利用されるんじゃないかって。だから真実を知るのは私たち精霊だけ。ランダリエはアレクシーネの娘を自分の娘と偽ることで守ったのよ」
「そんな……」
(これってゲームが根底から覆りそうな新設定過ぎない!?)
制作陣は続編ありきでこのゲームを製作していたのだろうか。カルミアに重要な設定を与えることで更なる敵として再利用するつもりだったとか……。いずれにしろ、全プレイヤーが知れば卒倒しかねない新設定である。
「けど、そんなのどうでもいいことよね」
カルミアが頭を抱えていると、あろうことかドローナはけろりと言い放った。
「たとえアレクシーネの子孫であってもカルミアはカルミア。私がカルミアを大好きなことにアレクシーネの血を引いているなんて関係ないんだから」
ドローナは無邪気な笑顔でカルミアに告げる。カルミアを見つめる眼差しに悪役としての面影はなく、ただの子どものようだった。