悪役令嬢はラスボスの密偵として学食で働くことになりました
(学食に密偵を派遣するってどういうことよー!)
「その、校長先生は確かにそう言っていたのかしら?」
まだカルミアは諦めていなかった。一縷の希望をロシュに託す。
「はい! さすがにそんな大事なことを聞き間違えたりしませんよ」
しかし残酷なまでの無邪気さがカルミアの心を抉った。
「それにその格好、学食の制服じゃないですか」
「これがそうなの?」
学食についてはゲームで触れられていなかったため知識がない。
そう言われると、ロシュもカルミアと似たデザインの服を着ている。
「あの~……」
とにかく今はこの目の前でしっぽを振っている少年の期待に応えなければならないだろう。
「失礼しました。私はカルミアです。カルミア……」
(ちょっと待ってラクレットはまずいわ!)
英雄の子孫として、ロクサーヌに名を連ねる家として、あまりにも有名になりすぎた。名乗れば即、素性がばれてしまう。
(何よりラクレット家の娘が何をしているのかと思われるわ。この私が契約の確認を怠ったことが知られたら……リデロに笑われる。お父様に呆れられる。お母様に怒られるー!)
カルミアは秒で偽名を考え出した。
「カルミア・フェリーネです!」
(リデロ! 貴方の名前、借りるわよ!)
ゲームキャラとも無関係。なおかつとっさに思いついたのは副船長の名前である。カルミアは何事もなかったかのように偽名を答え、優雅に自己紹介を終えた。
「よろしくお願いします。カルミアさん!」
「え、ええ……よろしく、お願いします……ロシュさん」
「やだなあ、ロシュでいいですよ。みなさんそう呼びますし、さんなんてくすぐったくて。もっと気軽に話しかけて下さいね」
「あ、ありがとう……」
カルミアはロシュと握手を交わした。
「あ、もう一人の方を紹介しますね。奥が厨房になってるんですけど、こっちですよ」
カルミアは言われるがまま、ふらふらとついて行く。
「その、校長先生は確かにそう言っていたのかしら?」
まだカルミアは諦めていなかった。一縷の希望をロシュに託す。
「はい! さすがにそんな大事なことを聞き間違えたりしませんよ」
しかし残酷なまでの無邪気さがカルミアの心を抉った。
「それにその格好、学食の制服じゃないですか」
「これがそうなの?」
学食についてはゲームで触れられていなかったため知識がない。
そう言われると、ロシュもカルミアと似たデザインの服を着ている。
「あの~……」
とにかく今はこの目の前でしっぽを振っている少年の期待に応えなければならないだろう。
「失礼しました。私はカルミアです。カルミア……」
(ちょっと待ってラクレットはまずいわ!)
英雄の子孫として、ロクサーヌに名を連ねる家として、あまりにも有名になりすぎた。名乗れば即、素性がばれてしまう。
(何よりラクレット家の娘が何をしているのかと思われるわ。この私が契約の確認を怠ったことが知られたら……リデロに笑われる。お父様に呆れられる。お母様に怒られるー!)
カルミアは秒で偽名を考え出した。
「カルミア・フェリーネです!」
(リデロ! 貴方の名前、借りるわよ!)
ゲームキャラとも無関係。なおかつとっさに思いついたのは副船長の名前である。カルミアは何事もなかったかのように偽名を答え、優雅に自己紹介を終えた。
「よろしくお願いします。カルミアさん!」
「え、ええ……よろしく、お願いします……ロシュさん」
「やだなあ、ロシュでいいですよ。みなさんそう呼びますし、さんなんてくすぐったくて。もっと気軽に話しかけて下さいね」
「あ、ありがとう……」
カルミアはロシュと握手を交わした。
「あ、もう一人の方を紹介しますね。奥が厨房になってるんですけど、こっちですよ」
カルミアは言われるがまま、ふらふらとついて行く。