メーティスの牙
癒しは時に毒
「へえ〜……。そんなことがあったんだ……」

アメリカでの出来事を透と玲奈が話し、美咲が猫を撫でながら相槌を打つ。

マイケルはカプノサイトファーガ・カニモルサス感染症であると玲奈が突き止め、マイケルは適切な治療のおかげで回復した。この病気は、カプノサイトファーガ・カニモルサスとは犬や猫の口の中に存在する細菌で、犬や猫に引っ掻かれることで発症する。免疫機能の低下した人ほど重症化する傾向にあり、死亡することもある。

「ちなみに、カプノサイトファーガ・カニモルサスは極めて稀にしか発症しないが多くの犬や猫の口の中にいるから安心はできないな」

玲奈は猫をジッと見つめる。猫は美咲に撫でられ、気持ちよさそうに目を細めていた。

「こうして見てると可愛いんだけど、やっぱり病気になるかもって考えると怖いな」

透は苦笑しながら言う。玲奈は医学書を閉じて言った。

「どんな良薬でも飲み過ぎると毒になると聞いたことがあるか?それと同じなの。私たちを癒してくれる存在でも、時に危険な存在となる」
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