メーティスの牙

「……あんた、絶対に失礼なことを考えているでしょ」

玲奈に睨まれ、「心を読むなよ」と透は苦笑する。

タクシーに二人は乗り込み、玲奈が友達の家の住所を言ってタクシーは走り出した。玲奈はタクシーの運転手と会話をし、透は外の景色を眺める。辺り一面にトウモロコシ畑や大豆畑が広がっていた。

「お客さん、着きました」

「ありがとう」

玲奈は運転手にニコリと笑いかける。運転手の頰が赤くなったことに、透はムッとした。あんな風に玲奈が自分に笑いかけてくれることなどほとんどない。

二人の目の前に建っているのは、日本では何千万もしそうな豪邸だ。その大きさや豪華さに透は圧倒される。しかし、玲奈は迷うことなくドアをノックした。

「こんにちは〜」

ドアを開けたのは、小学校高学年ほどの男の子だった。金髪の髪に青い目をしていて、大人になったらモテるんだろうなと透は思う。

「ねえ、お母さんはいる？私はあなたのお母さんの友達なんだけど」