猫になんてなれないけれど
「・・・いいんですか?」

「・・・・・・いけないんですか?」

「い、いえ、いいんです!招待、させてください!!」

お代は、萌花からの預かり物ではあるけれど。

力を込めて返事をすると、冨士原さんはぷっと笑った。

「是非。お願いします」

「はい。・・・・・・すみません。なんとなく、断られるような気がしていたので・・・」

あまりにも、力を込めて返事をした自分が恥ずかしかったから。

誤魔化すように言葉を足すと、冨士原さんは少し笑った。

「喜んでも、断ることはないですよ。せっかく誘っていただいて。真木野さんと、2人で食事に行けるのに」

そう呟いた横顔は、こちらを向いたりしないけど。

今の言葉は嘘じゃないって、それだけは、なぜかわかった。


別に、「好き」って言われたわけじゃない。

自惚れかも、ってまた思う。

だけどそれでも、望んでいた以上の言葉を、私は確かに受け取った。





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