猫になんてなれないけれど
それからの会話も弾んだ。

好きな犬種や趣味のこと、お互いの仕事について話していると、あっという間に時間が過ぎた。

三村さんの「はい!5分でーす」が、「もう?」って思ってしまうくらいに。

名残惜しく思っていると、今田さんも、「早いですね」と残念そうな顔をした。

「真木野さんとは、もうちょっとお話したかったな」

その言葉にちょっとドキッとしながらも、気づかれないよう平静を装って返事する。

「ありがとうございます。早かったですね」

「よかったら、また後で話しませんか」

「え、あ、はい」


(わ!やった!)


表面上は冷静に答えたけれど、心の中では両手を挙げて大喜びだ。

婚活パーティ初参加で、こんな素敵な出会いがあるなんて。嬉しくて、にやつきそうになる頬を押さえた。

今田さんを見送った後は、また2人の男性と会話をし、トークタイムは無事に終わった。ここからの一時間は、フリータイムになるらしい。


(やっぱり今田さんがよかったな・・・。また、この時間に話せればいいけれど)


フリードリンクが用意され、「では、お目当ての相手の方とお話をしてくださいね~!」という三村さんのかけ声に、みんなが早速、そわそわしながら移動する。


(よし!私も、今田さんのところに・・・)


オレンジジュースを手に持って、今田さんの姿を探す。すると見つけた今田さんの周りには、既に、数人の女性が集まって楽しそうに談笑していた。


(う・・・乗り遅れた・・・)


かわいくて綺麗な女の子たち。会話が始まっている輪の中に、今から入るのはちょっと躊躇してしまう。


(やっぱり、今田さんみたいな人はみんながいいって思うよね・・・)


どうしよう、と途方に暮れる。

なんとなく、助けを求めるように冨士原さんの姿を探すと、冨士原さんも、数人の女性に囲まれていた。けれど喜んでいるようには見えなくて、ちょっと、難しそうな顔をしている。


(男性人気は、今田さんと冨士原さんで二分だね。どうしよう、私は・・・)


悩んで辺りを見回した時、トークタイムで最初に話をした男性に声をかけられた。そして、プラス2人の男性が集まって、合計3人の男性と話をすることに。
< 24 / 169 >

この作品をシェア

pagetop