猫になんてなれないけれど
以前と同様、小柄で、かわいらしい女の子の姿が頭に浮かんだ。おとなしくて上品で、子猫のようにかわいくて。そして多分、その子自身も猫が好き。

どう考えても、私とは似ても似つかないタイプな気がする・・・。


(・・・って、いやいやいや!また!そこ!別にそんなの関係ないでしょ!!)


そう思うのに、もやもやとした気持ちが消えない。それでも、その感情を抑え込み、なんでもないフリをして相澤先生に向き合った。

「そ、そうなんですか。冨士原さんも、いい人が見つかるといいですね」

「だなあ」

うんうん、と頷く相澤先生に会釈して、診察室を後にした。

休憩室に向かって行きながら、私はふーっと息を吐く。


(・・・やっぱり私じゃ、冨士原さんとは無理だよね・・・)


だから、別に、どうってことはないんだけども。

そう思うのに、気分は下へ下へと沈んでいってしまうのだった。







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