白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)


「もしかして……
 私が中1の時?」



「ああ」



「合併した相手中学が
 ケンカ吹っ掛けてきたとき?」


「なんだ、桃。
 お前も覚えてたんじゃん」


 虎兄の言葉を聞いた瞬間
 一気に生気が吸い取られた。


 そんな私に追い打ちをかけるように
 十環先輩の柔らかい声が
 私の脳に突き刺さった。


「あの時の桃ちゃん、カッコよかったよ。

 般若みたいな怖い顔で
 20人くらいの男子を
 素手で倒していてさ」



 確かにしていた。 

 般若みたいな恐ろしい顔。



 ドスの効いた低い声で
 「なめんじゃねぇ」とか
 「かかってこいよ」とか
 相手を怒鳴り散らしていた……私。

 
 そんな姿
 十環先輩に見られていたんだ。



 もう!!

 見られていた時点で
 彼女候補の対象外じゃん!!


 守ってあげたくなるような
 可愛い女の子が好きな
 十環先輩の理想の彼女像から、
 外れまくっているじゃん!!



「な……なんで?
 そもそも、なんでこの家に
 十環先輩がいるんですか?」


「え? 
 龍牙さんに誘われたからだよ」


 龍兄? 

 十環先輩は龍兄と
 知り合いだったってこと?



 その時
 落ち着きのある低い声の龍兄が
 声を発した。


「昨日
 久々に十環と行ったんだよな。     
TODOMEKI(とどめき)にさ」


 TODOMEKI? 

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