白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
☆桃華side☆

「結愛(ゆあ)さん
 想像以上にかわいかったな……」


 学校から帰り
 お店のカウンターの前に座りながら
 お昼休みの出来事を思い出していた。


 お昼休みに見せてもらった
 十環先輩と結愛さんの
 ツーショット写真。


 結愛さん
 かわいすぎだし。


 その隣に写っている十環先輩が
 幸せオーラ全開で微笑んでいて
 思い出すたびに胸が
 雑巾で絞られたように苦しくなる。


 十環先輩に食べて欲しくて
 昨日作ったキャラメルを一つ
 口に入れた。


 キャラメルか……


 キャラメルは
 私と十環先輩をつなぐ
 特別な物だって思い込んでいたけど
 それは勘違いだった。


 結愛さんとの思い出だらけだから
 私が作ったキャラメルも
 おいしいって食べてくれたんだ。


 結愛さんとの思い出を
 塗り替えているつもりだったけど。

 私を通して
 大好きな結愛さんを
 思い出していたんだ。きっと。


 は~ 

 結愛さんには、叶わないな……


 そう思って
 カウンターに右頬をペタッと
 くっつけながら、
 何度も何度も
 十環先輩の笑顔を思い出す。


 王子様みたいに
 優しく包み込んでくれるような笑顔も。

 悪魔みたいに
 私をいじってくる時の笑顔も。

 どっちも大好きなんだけどな。


 あと1週間で
 先輩は卒業しちゃう。


 その大好きな笑顔を
 間近で見られるこんな贅沢な時間も
 あとちょっとで終わっちゃうな。


 そんなことを考えている時
 お店にお客さんの入店を知らせる音楽が
 鳴り響いた。

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