白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

 ダメダメ、仕事中だった。

 しっかりしなきゃ、私。


 そう思い、その場に立ち上がり
 こっちに向かってくるお客さんに
 笑顔を向けようとしたのに。

 信じられない人が目の前にいて
 固まってしまった。


「あの~ 桃華ちゃん?」


「え? あ、はい」


 私の名前を呼ばれるなんて
 それこそ予想外すぎて
 その場であたふたしてしまう。


「フフフ、
 ブログのお写真もかわいかったけど
 実際はもっとかわいらしいのね?」


 へ?


 私が
 かわいらしい?


 自分に一番似合わない言葉で
 褒められているのに、
 この人が言うと
 嫌みに全く聞こえない。


 きっとそれは
 微笑み方が柔らかいからだと思う。


 でも
 写真よりも実際の方がかわいいって
 そっくりそのまま返したかった。


 だって
 私の目の前にいるのは
 十環先輩の大好きな
 結愛さんだったから。

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