白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

「十環先輩……
 まだ結愛さんのこと、好きですよ」


「え?」


「言っていましたから。今日」


「でも、夏に花火大会で偶然会った時には
 彼女さんと一緒で。
 確か……りっちゃんって」


 六花?


 そういえばあの頃
 六花が言っていた。 

 一颯先輩と十環先輩と3人で
 花火大会に行ったって。


 その時、十環先輩は結愛さんの前で
 『六花を彼女』だって嘘をついたんだ。


「付き合っていませんよ。六花とは」


「そっかぁ。 よかったぁ」


 心からホッとしたように微笑む
 結愛さんは
 本当に天使みたいに見える。


 悪魔みたいに下僕を怒鳴りつけ
 イラッとしたら回し蹴りを
 くらわせちゃうような私とは
 本当に正反対の人だな。


 でも、知りたい。

 十環先輩のことが好きなら
 なんで別れたんだろう。
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