白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)


「結愛さん、
 2年前に十環先輩のことを
 ふったんですよね?
 どうしてですか?」


「桃華ちゃんって、
 どうして十環くんのこと、詳しいの?」


 言えない。

 十環先輩が大好きだからって。

 どうしても隣にいたくて
 仮の彼女なんですって。


 その事実を隠すため
 私は穏やかに微笑んだ。


「TODOMEKIって知っていますか?」


「うん。高校に入るまで
 十環くんが入っていた
 暴走族チームだって聞いているけど」


「十環先輩がいた時の総長が
 私の兄なんです」


「もしかして、龍牙さん?
 お会いしたことはないけど
 話はよく十環くんから聞いていたよ」


「それに私、今、
 十環先輩と同じ明虹学園にいるんです。
 1年ですけど」


「そうなのね。
 同じ高校で、龍牙さんの妹さんなのね。
 桃華ちゃんになら話してもいいかな」


 結愛さんはそう言うと
 悲しさを含んだ瞳を光らせ
 言葉を続けた。
< 112 / 209 >

この作品をシェア

pagetop