白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

「桃華ちゃん、
 『シルキー』って知っている?」


「はい。
 OLに人気の
 ファッションブランドですよね?」


「私ね
 その会社の社長の、一人娘なの」


 へぇ~ 
 そうなんだ。


 ん? 

 んん??


「えぇぇぇぇぇぇ??!!」


 あまりのスケールの大きな話に
 理解するのに数秒かかってしまった。


 子供みたいなオーバーな
 雄たけびをあげてしまった自分が
 恥ずかしすぎる。


「フフフ。
 桃華ちゃんって
 面白いリアクションをするのね。
 場を和ますのが上手なんだから」


 まさか
 狼並みの雄たけびを
 褒めてくるなんて。

 普通なら
 バカにされても
 おかしくないところなのに。


「私が高3の時
 お父さんに言われちゃったの。
 十環くんと別れなさいって」


「え? 何でですか?」


「私はね
『シルキー』を継いでくれる相手と
 結婚させるって
 子供の頃から言われていたの。

 だから
 好きな人と付き合うなんて
 私には無理なんだって
 ずっと思って生きてきたんだ。

 でもね、高2で十環くんに出会って
 すっごく好きになって。
 自分の家のことを隠して
 十環くんと付き合いだしたの。

 そしたらお父さんに
 十環くんのことがばれて。

 十環くんが中学の時に
 暴走族チームにいたことも
 調べられちゃって。
 別れなさいって言われちゃったんだ」


 結愛さんが十環先輩を振った理由は
 嫌いになったからじゃないんだ。


 大好きだったのに
 別れなければいけなかったんだ。
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