白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
「どうした? 恋兄?」
「え? あ、やばいかも!
今の桃の『ありがとう』が嬉しすぎて
現実なのかわからなかった」
「何よ、それ」
「桃、俺に『ありがとう』って
言ったよね?
本当に言ったよね?」
「……言ったけど」
「俺、こんなところにいられない」
「は?」
「龍兄に、自慢してくる」
「へ?
龍兄に、言いに行かなくていいから」
恋兄のアホっぽい行動に
自然と笑みがこぼれた。
「ほら。桃の今の笑顔すっごくいい!
楽しいときは、素直に笑いなよ」
そんなお兄ちゃんらしいことを
言いながら、
私の頭をワシャワシャ
かき乱した恋兄は
スキップをしながら
龍兄の部屋に跳ねていった。