白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
☆十環side☆

 次の日の朝。

 俺は今日も
 桃ちゃんが降りてくるバス停の前で
 待っていた。


 今朝も桃ちゃんに
 不愛想な顔で言われちゃうかな?

 『寒い中、待ってなくていいですよ』
 って。


 笑顔でごまかしているけど
 そんな風に言われると
 結構傷つくんだよね、俺。


 そんなことを考えながら待っていると
 俺の前に一台のバスが止まった。


「桃ちゃん、おはよう」


 バスから降りる桃ちゃんに
 いつものようにとびきりの笑顔を
 向けた直後、
 俺は目を見開いたまま
 固まってしまった。


 桃ちゃんは俺と目が合った瞬間に
 太陽のようにキラキラした笑顔を
 俺に向けたから。


「あ、十環先輩
 おはようございます」


 え?

 桃ちゃんが今
 俺に笑った?


 いつもと違いすぎる状況に
 得意の笑顔なんて
 作れない自分がいる。


 表情筋まで固まったままの俺に
 バスを降りる桃ちゃんが
 弾むような声を発した。
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