白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
桜色のご飯のふちを一周囲むように
カラフルな丸いチョコが並んでいる。
そのチョコの囲いの中に
焼きのりでできた
文字が並んでいた。
『桃は世界一、いい女だぞ!
龍 恋 虎より』
「恋兄……」
焼きのりをこんなに丁寧にカットして
文字を作るなんて。
こんなことができるのは
我が家で恋兄しかいない。
寝坊してお弁当を作ってくれなかった
わけじゃなかったんだ。
恋兄は
このメッセージを作ってくれてたんだ。
「桃ちゃん
お兄さんたちから愛されているね」
十環先輩の優しい声が
耳に届いた時には
止められないくらい
涙があふれ出していた。
「桃……ちゃん?」
ダメだ。
十環先輩に泣いているところなんて
見せたくないのに、
自分じゃ涙を止められない。
私はお兄ちゃんたちが言うような
『いい女』なんかじゃない。
だっていい女なら
結愛さんが私の家に来た時に
すぐに十環先輩に教えてあげるでしょ。
十環先輩は両想いですよって
電話をしてあげるでしょ?
でも私は違う。
このまま十環先輩とバイバイは嫌で。
あと1日だけだからって
結愛さんの想いを十環先輩に隠して。
それで今一緒にいてもらっている
卑怯な女だよ。
世界一いい女なんかじゃ
全然ないんだから!!