白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
そんな時
十環先輩が
私を優しく抱きしめてくれた。
「どうしたの?
そんなに嬉しかったの?
龍牙さんたちの想いが」
「……違います」
「じゃあ、何があったの?
言いたくない?」
私を必死で慰めようとしているのが
伝わってくる
十環先輩の優しい声。
私はそんな優しさを振り払うかのように
抱きしめてくれていた十環先輩を
突き飛ばした。
「もも……ちゃん?」
私は涙があふれて止められないまま
声を荒らげた。
「十環先輩なんて……
大嫌いです!!」
「え?」
「私のことを好きでもないくせに
抱きしめるとかやめてください。
そんなことされたら……
どんどん好きになっちゃうから。
十環先輩のことを……」
十環先輩は
信じられないというような顔で
目を見開いて立ち尽くしている。
私は自分の感情が
抑えきれなくなってしまった。