白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
「バレンタインのまえから
十環先輩のことが好きだったから。
でも、十環先輩は私なんて
絶対に好きになってくれないって
わかっていたから。
せめて卒業までは隣にいたくて……
だから……仮の彼女なんて……」
込み上げてくる思いが止められない。
ヒックヒックと泣きじゃくってしまう。
私はカバンの中から
キャラメルの箱を取り出し
十環先輩に差し出した。
「これって?」
「昨日結愛さんから預かりました。
十環先輩に渡してほしいって言われて」
「え?」
「十環先輩のことが
大好きだって言ってました。
別れてからも、ずっと好きだったって。
良かったですね。
十環先輩は、結愛さんと両想いですよ」
これを伝えたら
十環先輩は、私の目の前で
飛び跳ねながら喜ぶかと思った。
でも、私が泣きながら
自分の思いなんて伝えてしまったからか
固まった表情のまま
私を見つめている。
私は涙をぬぐって
バッグからもう一つキャラメルの箱を
取り出した。
そして、ゆっくりと深呼吸をして
必死に笑顔を作って十環先輩を見つめた。