白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
「これは、十環先輩にあげようと思って
私が一昨日
作っちゃたキャラメルです。
十環先輩が責任をもって
処分してくださいね。
私、キャラメルより
スルメの方が好きだから」
もう泣いちゃったけど。
今はなんとか
涙が引っ込んでくれている。
あとちょっと、あとちょっと。
涙が再びあふれるのを我慢しなくちゃ。
十環先輩にさよならを告げる時には
絶対に笑顔でいるって決めたんだから。
私は急いでカバンに
お弁当箱とジャージを詰め込んだ。
そして十環先輩を見つめた。
「仮彼女、これでおしまいです。
十環先輩……バイバイ」
笑って言えたのに。
口角はちゃんと上がっていたのに。
瞳からは大粒の涙が
ぽろぽろこぼれだした。
泣いている姿なんて見られたくなくて
私はカバンをギュッと握りしめて
十環先輩の前から走り去った。