白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
「桃ちゃんは
お前に気持ちを伝えたんだな」
「え?
一颯、
桃ちゃんが俺のことを好きだって
知っていたの?」
「ああ。
俺が六花と付き合いだして
すぐだったから
1月のはじめくらいかな。
六花がさ、俺に相談してきたから。
桃ちゃんがお前のことを
好きになったって報告してくれたのに
十環には大好きな人がいるって
言えなかったって。
その上、
お前と桃ちゃんはお似合いだと思うって
言っちゃったって。
俺もさ
十環の隣に桃ちゃんがいるってのも
悪くないのかもなって思ったからさ
お前に内緒で
ひそかに桃ちゃんのことを応援してた。
恋のお守りを作って
桃ちゃんに渡してさ」
一颯は、ハートの刺繍が入ったお守りを
俺の前でユラユラと揺らした。
「そのお守り。
桃ちゃんがいつもバックに
つけていたのじゃん」
「『一颯先輩が作ったお守り、
全く効果ないじゃん!』って言いながら
今日、六花のところに
返されたみたいだけどな」
「なんで?
一颯は知っていたでしょ?
俺がずっと
結愛さんを忘れられなかったこと。
結愛さんとよりが戻ることを
願ってくれていたんじゃないの?」
「だってさ、お前
2年前に結愛さんと別れてから
ずっと辛そうな顔を隠していたじゃん。
俺にすら弱みを見せずにさ
一人で抱え込んでさ。
笑顔で大丈夫、大丈夫とか
言ってる姿がさ、痛々しいんだよ。
だからさ
十環が結愛さん以外の女を好きになる
ってのもありかなって思ってさ。
桃ちゃんは普通の女子とは全然違うしさ
お前が辛そうにしてたら
笑顔にしてくれそうだなって思ったし」
「それって
桃ちゃんが、龍牙さんの妹だから?」
俺の言葉に
一颯は目をパチパチさせている。
そして数秒後。
「はぁぁぁぁぁぁ??」
俺が耳を塞ぎたくなるような
大声を張り上げた。