白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
桃華の計画
☆桃華side☆
お昼休みのあと
私は午後の授業なんて無視して
家に帰ってきた。
お母さんに
「授業をサボるなんて何考えてんのよ!
明虹学園の学費
いくらかかると思ってんの!
家にいるなら、お店の手伝いを
しないと許さないからね!」
そう怒鳴られ
今私は、お客さんが一人もいない
お店のカウンター前に座り
今日の出来事を思い出していた。
帰りがけ
六花に酷いことを言っちゃったな。
十環先輩に自分の思いを伝えて
『仮の彼女、終了宣言』をして
教室に逃げ帰った後、
六花が心配そうに声をかけてきた。
「桃ちゃん、何かあった?」って。
六花の方が泣きそうな顔で。
そりゃそうだよね。
私、目を真っ赤にはらして
教室に飛び込んできたんだから。
六花だって
心から心配してくれたんだよね。
それなのに
六花に言ってしまった。
『十環先輩が好きだって
六花に話した時には、
十環先輩は結愛さんが大好きだって
知っていたんでしょ?』
とか
『知っていたら止めてよ。
私には無理だって言ってよ。
それなのに「お似合いだと思う」とか
「応援するね」とか
そんな無責任なことを六花は私に
言ったよね?』
って。
怒りをぶつけるように
六花に睨みつけながら
言い放ってしまった。
六花は「違うの!違うの!」って
必死に何かを訴えようとしていたのに。
それを無視して
私は最低なことを口にしてしまった。
『六花のこと、信じてたのに』って。
そして私は
カバンに荷物を詰め込んで
教室から飛び出してしまった。
本当に、嫌な女だよな。
私って。
十環先輩が結愛さんと
うまくいきそうだからって。
私を選んでもらえなかったからって。
六花にこのグチャグチャな感情を
ぶつけてしまったなんて。
あとで、六花の家に電話して
謝らなきゃな。
冷静にそう思えた時
今度は最後に瞳に写った
十環先輩の困惑した顔を思い出した。