白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

 十環先輩の自分の思いを伝えて
 玉砕した日から
 2日後の朝6時。


 私は今、ある公園に来ている。 
 トイプーと一緒に。


「桃華さん

 本当に実行するんですか?」


「やるに決まってるじゃない。
 そのために
 朝練をサボってここに来たんだから。
 帰ったら、お父さんの雷が落ちるかもな」


「桃華さんのお父さん、
 導火線に火がついたら
 もう爆発が収まるまで
 手が付けられませんからね」


「アハハ。
 ま、お母さんがマジ切れするよりは
 まだマシだけどね」


「僕からしたら
 どっちも怖すぎですけど……」


 トイプーはたまに
 犬なんじゃないかって思う時がある。


 私が何かしようとするときには
 なぜか嗅ぎつけて
 私のところにやってくる。


 本当はこの計画を
 私一人で実行しようと思っていたけど。

 昨日トイプーが私の前に現れて
 話しているうちに
 この計画をもらしてしまった。


「トイプー、帰るなら今だからね。
 私一人で
 何とかなるんだから」



「僕、帰りませんよ。
 協力するって決めたのは、僕自身なので」


「ありがとな。トイプー。
 その代わり
 ヤバくなったら真っ先に逃げろよ。
 お前はさ
 犬みたいに逃げ足だけは速いんだから」


「犬みたいには余計ですよ」


 トイプーはほっぺをプクーって
 お餅みたいに膨らませて
 私の肩をグーでどんどん叩いている。


 私は笑いながら思っていた。

 『トイのこういうところが
  癒されるんだよな。
  かわいい弟みたい』って。
< 141 / 209 >

この作品をシェア

pagetop