白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

 ん? 

 この建物の裏?


 聞き間違えかもなと思っていると
 男女の叫び声が
 確かに俺の耳に届いた。


 あわてて建物を添うように
 裏手に回ってみる。


 俺の目に飛び込んできた
 信じられない光景。

 
 男の人が木に縛り付けられていて
 今まさに
 口にガムテープを貼られている。


 そしてその木から
 10メートルくらい離れた場所で
 真っ白なファー付きのコートを着た
 女の人が、
 黒づくめの男に
 連れ去られそうになっている。


「十環くん、助けて!」


 その声が耳に飛び込んできたとたん
 俺は叫んでいた。


「結愛さん!」

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