白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
今の戦いで
体が限界を感じている中、
もう一人の黒づくめの男から
結愛さんを助けるために、
俺は結愛さんの元に走り出した。
黒づくめの男の肩を持ち
結愛さんから遠ざける。
そして思いっきり
こぶしを後ろに振りかぶり
渾身の力を拳にやどして
相手の左頬めがけて殴りかかった。
え?
俺の拳がめり込んだ相手は
俺が狙った相手じゃなくて
さっき俺が、お腹にパンチを入れて
倒れこんでいた男だった。
その男は思いっきり飛ばされ
もう一人の男も
倒れて動かない男のところに
駆けよっていった。
その時
「十環くん、怖かったよ。
本当に怖かった。ありがとう。」
そういって涙をポリポロ流しながら
俺の首に手を回して
抱き着いてきた結愛さん。
「良かった。
本当に良かった。結愛さんが無事で」
気づいた時には、俺も力いっぱい
結愛さんを抱きしめていた。