白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

「十環くん
 早くお父さんを助けてあげて」


「え?」


「あの木に縛り付けられている人
 私のお父さんなの」


 結愛さんのその言葉に
 二人で結愛さんのお父さんの方に
 走りだした時。

 いきなり誰かに
 後ろから羽交い絞めにされた。


 その力の強さに
 俺は逃げることができない。


「結愛さん、逃げて。
 お父さんの縄をほどいて、逃げて」


「でも」


「いいから、早く」

 結愛さんは心配そうに
 俺の方を何度も見ながら
 お父さんのところに向かって
 走っていった。


  
 後ろから俺を羽交い締めにしている
 この男。

 力の強さから言って、
 俺はこの男に勝てないかもしれない。

 
 そう思った時、
 想像とは全く違う弱々しい声が
 俺の耳に届いた。

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