白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
「十環は何も悪くないから。
全部桃の、筋書き通りだからな。
ま、俺は知らないことになっているから
今俺が、十環にこんな話を
しているなんて知ったら、
桃に後で、怒鳴られそうだけどな」
「龍牙さん……俺……」
「桃がお前のためにここまでしたんだ。
だから次は、お前が頑張る番だろ?」
「え?」
「目の前で
娘を助けたヒーローなんだから。
あとは
結愛さんの親父さんに認められるように
お前が頑張れよ」
桃ちゃん。
別れたのは
結愛さんのお父さんに
反対されたからって知って、
こんなことをしてくれたんだ。
やばい。
涙が止まんないんだけど。
「十環に一つ
お願いがあるんだけど」
「何……ですか?」
「桃のことは、もう放っておいてやって。
前にも言った通りさ
桃の奴、強くないから。
本当はすっげー弱いの。
弱いくせにさ
苦しいとか辛いとか人に見せられなくて
一人で抱え込んで泣くんだぜ。
そういう意地っ張りなところ
本当に俺にそっくり。
だから俺さ
桃のことが可愛くてしかたがないんだ。
ま、桃には俺たち兄弟もいるしさ
トイもいる。
すぐに元気になるからさ
もう桃には近づかないでやってな。」
「……龍牙さん」