白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

 十環先輩が結愛さんを助けるために
 必死で私に殴りかかってきた。


 その時の十環先輩の瞳。


 『大事な女を絶対に守る』という
 強い意志が
 十環先輩の瞳にはっきりと宿っていた。


 そして
 十環先輩に左頬を殴られ
 倒れたまま動けないでいた私の目に
 愛おしい人をしっかり抱きしめる
 十環先輩が映った。


 結愛さんのことが
 大好きで大好きでしかたがないという
 十環先輩の想いが
 私にまで伝わってきた。


 殴られた頬やお腹の痛みより
 胸の痛みの方が
 絶えられないくらい痛くて

 私の瞳が二人を見るのを
 拒絶するかのように
 ゆっくりと瞼が閉じた。

 そして意識を失ったんだ。あの時。
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