白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
「桃華さん、大丈夫ですか?
どこか痛いですか?」
トイプーは私に
何度も声をかけてくれていたらしい。
気づいたら私は
ベッドの上で体を起こしたまま
一点を見つめ泣き続けていた。
心配そうに私を見つめる真ん丸な瞳。
その、トイプーの瞳にハッとして
私は急いで涙をぬぐうと
泣きはらした顔を
長い髪の毛で隠した。
「別に……なんでもないし……」
「明らかに桃華さん
辛そうな顔をしていましたよ」
「だから、何でもないってば」
「こういう時に、使ってください。
泣きたいときは
僕のところに来てください券」
純粋な瞳で静かに微笑む
トイプーのこの表情に
私は今まで何度助けられてきたんだろう。
他の仲間には絶対に
泣いている顔なんて見せられない。
それなのに
弱っている時にこのトイプーの
穏やかな笑顔をみると
つい思ってしまう。
トイプーにだったら
情けなくてぼろぼろな私を
見せてもいいかなって。
ベッドサイドに立ち尽くしている
トイプーに向かって
私のすぐ横のベッドの上を
ボンボンと叩いた。