白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)


「ん? 桃華さん?」


「トイプー……私の隣に座って……」


「あ……はい」


 目をパチパチさせながら
 私の隣に腰を掛けてくれたトイプー。


 私はズボンのポケットから
 バレンタインにトイプーがくれた券を
 一枚取り出すと、
 ソワソワしているトイプーに
 「はい」と差し出した。


「これって……」


「さすがに今回はさ
 自分の中でも耐えられるかなって
 思いがあってさ。

 家を出る前に
 ポケットに忍ばせていたんだ。
 今使っても……いい?」


「良いですけど」


「じゃあさ……
 トイプーの背中……貸して。
 そのままでいいから」


 トイプーがコクリとうなずいたのを
 確認して
 私はベッドに腰かけている
 トイプーの背中に
 座ったまま
 自分の背中をぴったりとくっつけた。



 トイプーの温かいぬくもりが
 伝わってきたとたん
 抑え込んでいた
 グチャグチャな感情があふれ出した。
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