白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
今日はホワイトデー直前の土曜日。
ある駅前商店街の
ホワイトデーイベントで
『呉服屋 百目』に出店してほしいと
いう依頼を受け
私とトイプーの二人で
お店番を任された。
ステージの前には
芝生広場が広がっていて
その広場をコの字で囲むように
屋根だけテントが30個ほど並び
食べ物から雑貨まで
いろんなお店が出店している。
ステージから一番遠いテントが、
私たち『呉服屋 百目』のお店。
イベントスタートとともに
私たちのブースには
お客さんがひっきりなしに押し寄せ
浴衣用の和小物や
恋兄の作るロリータ服やアクセサリーが
飛ぶように売れている。
トイプーとおしゃべりしている間もない
くらいの忙しさで、
ひたすらレジ打ちをしていると
広場に流れるアナウンスとともに
いきなりお客さんたちの波が
ステージ前に向かって行った。
全てのお客さんが
ステージ前に集まっているんじゃ
ないかくらい、
芝生広場は大賑わい。
「疲れたね……トイプー」
「はい。
まさかこんなにお客さんが来るなんて。
バイト代を2倍にして
もらいたいくらいです」
「トイプー、
それ、お母さんに言える?」
「う……。
美穂さんには……言えないです……」