白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

 相変わらずいじりがいのあるトイプーと
 笑っておしゃべりをしていると
『イベント関係者です』とはっきりわかる
 真っ赤なベストを着た女の人が
 声をかけてきた。


「ご苦労様です。
 私、イベント担当の成瀬です。
 お弁当を持ってきたのですが
 2つで良かったですよね?」


「あっ、はい。
 ありがとうございます」


 感じのいい、さわやかな笑顔を振りまく
 成瀬さんは
 多分、私よりも2.3歳上くらいかな。


 お弁当を机に置くと
 私に向かって
 瞳をキラキラさせて微笑んだ。


「今回は、このイベントに出店してくれて
 本当にありがとうございます。
 実は私が、百目さんのお店に行って
 出店のお願いをしたんです。

 私の高校の友達に
 恋都さんが作る洋服の
 熱狂的なファンがたくさんいて、
 その子たちに頼まれちゃって」


「そうだったんですね。
 それを聞いたら、恋兄も喜びます」


 その時、イベント広場から
 成瀬さんを呼ぶ声が。
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