白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

 2曲目が終わり
 ステージの2人のトークが始まった。


 ここでも
 彼女さんとのノロケ話ですか。


 ファンの子たち

 二人に怒ろうよ!
 突っ込もうよ!

「どれだけ彼女さんが好きなんだよ」って。


 早く終わってくれないな……
 この二人のライブ……


 ステージの二人が
 3曲目を歌い始めた。


 さっきまでのアップテンポの
 ハッピーソングとは違い
 スローテンポの切ないバラード。


 歌詞なんて
 聞きたくないと思っていたのに。

 なぜか聞き漏らしたくないと
 思っている自分がいた。


 ♪『わかっているんだ 
   俺よりあいつの方が
   君のことを幸せにできるって

   それでも会いたいんだ
   もう一度戻りたいんだ
   君が隣にいてくれた あの時間に』


 この歌詞を書いた人の気持ちが
 痛いほどわかる。

 
 十環先輩をとびきりの笑顔にできるのは
 私じゃなくて結愛さんで。

 その現実をわかっているはずなのに
 十環先輩が私の隣にいてくれたあの時に
 戻って欲しいなって
 ふとした時に思ってしまう。


 切ないな。
 この曲。
 
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