白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
な……な……なんで
十環先輩が、ここに??
卵焼きを頬張ろうと
大きな口を開けていた自分が
恥ずかしくなり、
一気に顔の熱が急上昇。
ごまかすために
急いで箸と卵焼きを置いて
笑顔を作った。
「桃ちゃん、久しぶり」
「どうして、ここにいるんですか?」
「え? 来ちゃダメだった?」
十環先輩と最後に目が合ったのは
先輩が卒業前の学校。
私は目が合うたびに
猛ダッシュで十環先輩から逃げていた。
そんなことなんてなかったかのように
目の前の十環先輩は
王子スマイルでニコニコと微笑んでいる。
おかげで私も
自然と十環先輩に話すことができた。
「来ちゃダメってことはないですけど。
こんな遠いところまで
何しに来たのかなって思って。
もしかして
ステージに立っている2人と
お友達ですか?
十環先輩と同い年みたいだし」
「違うよ。
あんな顔面偏差値が高い二人
お友達だったら真っ先に
桃ちゃんに自慢しているからね」
顔面偏差値が高いか。
ステージの二人の顔は
よく見えないけど
十環先輩も顔面偏差値は
飛びぬけて高いですよ。
素直にそう思ったけど
声には出せなかった。
だって、今でもまだ
十環先輩のことが忘れられないなんて
気づかれたくなくて。