白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

「俺ね、桃ちゃんに渡したいものがあって」


「何ですか?」


「はい。 これ」


 十環先輩は
 抱きかかえたくなるほど大きな紙袋を
 私の前のテーブルにドドーンと置いた。


「これは……いったい?」


「バレンタインのお返し」


「紙袋の中、見てもいいですか?」


「いいよ」


 王子様みたいにさわやかに微笑む瞳に、
 一瞬だけ
 悪魔の輝きが見えた気がしたんだけど
 気のせいかな。


 そう思いながら
 紙袋を開くと……


 透明のボトルの中に
 櫛にささったスルメが
 大量に詰め込まれていた。


「十環先輩
 これって……スルメですよね?」


「うん。」


「なんか、大量ですよね?」


「100本入りって書いてあったかな」


「ひゃ……百本?」


「だって、桃ちゃん言っていたでしょ。
 キャラメルより
 スルメの方が好きだって」
< 175 / 209 >

この作品をシェア

pagetop