白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
「俺ね、桃ちゃんに渡したいものがあって」
「何ですか?」
「はい。 これ」
十環先輩は
抱きかかえたくなるほど大きな紙袋を
私の前のテーブルにドドーンと置いた。
「これは……いったい?」
「バレンタインのお返し」
「紙袋の中、見てもいいですか?」
「いいよ」
王子様みたいにさわやかに微笑む瞳に、
一瞬だけ
悪魔の輝きが見えた気がしたんだけど
気のせいかな。
そう思いながら
紙袋を開くと……
透明のボトルの中に
櫛にささったスルメが
大量に詰め込まれていた。
「十環先輩
これって……スルメですよね?」
「うん。」
「なんか、大量ですよね?」
「100本入りって書いてあったかな」
「ひゃ……百本?」
「だって、桃ちゃん言っていたでしょ。
キャラメルより
スルメの方が好きだって」